歯周病の原因は細菌性プラークです。よってこれを確実に取り除く「プラークコントロール」をすることがとても大切です。プラークコントロールは、本人が病気を治そうという努力のセルフケアと歯医者で行うプロによるケアに大きく分けられます。
セルフケアでできることは限られますが、自分自身でのケアを怠らないことで歯周病菌の増殖を大きく抑えることが可能です。プラークコントロールの基本は毎日の歯みがきです。
a) 毛足はストレートで毛束は 3~4 列ぐらいで清掃しやすく、通気性のよいもの
b) 健康な人は歯ブラシの硬さは普通かやや硬め、歯ぐきに炎症がある場合は柔かめのもの
c) 歯ブラシの持ち方は、エンピツを持つように持つ
歯科医院でお勧めの歯ブラシを購入するのもよいでしょう。
歯の磨き方の基本は、一本ずつ丁寧に磨くことです。歯科医師・歯科衛生士が患者様の歯みがきを丁寧に指導いたします。
歯と歯の間、歯の一番奥の部分、被せ物やブリッジが入っている部分など、歯ブラシだけでは汚れが取りにくい部位があります。そんな場所にもプラークは溜まっています。毎日歯みがきしているのに虫歯や歯周病になってしまう。そのような方は、歯磨きでは取り切れていないプラークが残っていて、そこに住む菌が症状を悪化させているのです。
プラークは48時間放置すると歯ブラシでは取ることができない歯石に変わってしまいます。そのため、
毎日、最低でも2日に一回は歯間ブラシやデンタルフロスを使っての歯みがきをしてプラークを取り除きましょう。
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)は、歯周病の原因となる歯に付着したプラークや歯石などを除去し、歯の表面と歯周ポケット内部をきれいにする処置です。
歯石は歯磨きでは取り除くことができないため、歯科医院でSRP処置により取り除く必要があります。細菌に汚染された歯根表面を清掃し滑らかにすることで、炎症を起こしている歯周組織が治りやすい環境を整えます。SRPは歯周基本治療(初期治療)でもあり、歯周病を改善させる上で基本的かつ重要な処置となります。
歯の表面にこびりついている歯石は、スケーラー(キュレット)や超音波スケーラー、エアスケーラーといった専用器具で取り除きます。
キュレットは、器具の先端が刃になっており、歯石を削り取ることができます。超音波スケーラーやエアスケーラーは、器具の先端が振動し、その振動で歯石を破砕・洗浄します。
歯周ポケット内のプラークと歯石を取り除くことで、そこに潜む歯周病菌を激減させることにつながります。ポケット内のプラークが取り除かれることで炎症が軽減し、結果的に歯周ポケットが浅くなります。
しかし、SRPで歯周ポケットの奥深くに付着したプラークや歯石を取り除いただけでは炎症は回復していきません。なぜなら歯周病菌が完全になくなることはなく、徐々に元の状態まで戻るからです。そのため、
数か月に一度の歯科医院でのメンテナンスが重要になります。
歯周病や虫歯の原因となる歯垢(プラーク)や食べ物やコーヒー、たばこで着いた着色汚れなどは、毎日のブラッシングでは取りきれません。PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とは、歯科医院で専用器具を使って行う歯の清掃のことです。
毎日のブラッシングに加えて歯科医院でのクリーニングを定期的に行うことで、蓄積しがちな歯垢(プラーク)や着色汚れ、細菌(バイオフィル)を取り除き、
歯周病や虫歯を防ぐことができます。
多少の痛みがある歯石除去とは違い、歯垢を除去することでお口をすっきりさせるために行います。
歯ブラシによるブラッシングでは取り切れない汚れを取ることで、ピカピカになります。
ブラッシングでは取り切れない細菌(バイオフィルム)を取り除くことができます。
ブラッシングでは届かない歯周ポケットの中の細菌を取り除くことができます。
クリーニング後のフッ素塗布で、歯の表面の質を強化することができます。
毎日のブラッシングで磨き残しがどのくらいあるか、歯垢の染め出しをして確認します。自分の磨き残しの特徴を知り、毎日のブラッシングの際の参考にします。
PMTCを行った後でも、歯垢を溜まりにくくするために、染め出したところについてブラッシングの指導を行ないます。
研磨剤と専用の器具を使用して、歯垢や着色汚れを落としていきます。器具では落としきれない歯と歯の隙間の汚れなどは、フロスや専用のチップを使用して落とします。
研磨剤をきれいに洗い流してから、歯の表面に虫歯予防効果のあるフッ素を塗布します。